リアリティ・ショウ 1日目

第2回公演/リアリティ・ショウ 2008年11月11日

11月10日。
本日、虚構の劇団・第二回公演への実験が本格的に始動した。
まず最初の試みとしてこの空間の中で1週間過ごすことから始まるようだ。
休憩や食事、及び個別的な理由での退室は許可されているが、
決められた時間は基本的にこの部屋で過ごさなければならない。
この実験の先にある成功は
「この空間の中でそれぞれが新たな人格を形成すること」のようだ。
現段階ではここまでの撮影が許されたので、まずはこの実験空間の画像を提供したい。

いま私はライターとしての立場を取りながらこの空間で過ごすことに、
期待と興奮を感じている。
なぜなら、かくいう私もこの空間に放り込まれた実験体の一人だからだ。
新たな人格は、私がライターとしての客観的な立場を放棄させるのだろうか。
私はいつまでこの状況を客観的に見つめることが出来るのだろうか。
しかし期待と興奮は決して私だけではなく、ここに介した一同が抱いたようだった。
それは一同の手元にある「人格形成マニュアル」の資料に
ひと通り目を通した時の驚きの表情からうかがえた。
そしてこの資料に従って発言が飛び交う状況は、
早くも実験の第一段階が始まっていることを示していた。
まだ私は冷静にこの状況を見つめることが出来ている。

実はこの状況は演劇的な言葉に置き換えると
「台本の読み合わせ」という「稽古」である。
これを敢えて「人格形成実験の第一段階」と称したのは、
今回の『The Reality Show』というタイトルによるものが大きい。
画像の左下に一人の男性(劇団員:ヤマザキ)が死んだように眠っている姿と
それを黙殺するように手元の資料を覗き込む集団の姿。
この男はみずから起き上がるのか。
それとも我慢できなくなった誰かが起こすのか。
あるいは渦巻いた感情を抱きながらも黙殺し続けるのか。
男性はそのまま眠り続けるのか。
そして男性の鼓動が止まっているということに、いつか誰かが気づくのか。
……「芝居の稽古という当たり前の状況を、まずは当たり前に遂行すること」
からこの実験はすでに始まっている。

これ以上は現段階で伝えることできないので
「リアルなのにショウ ショウなのにリアル」
という言葉を借りてこの記事をむすびたい。
そして私はまだ冷静に見つめることが出来ている。

2008.11.10 渡辺芳博
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