そんなわけでブログの順番が回ってきました、鴻上です。
たしか、前回の『リアリティ・ショウ』の時も、一番最後、山﨑から回ってきたような気がします。
結局、演出家の扱いなんてのは、その程度なのでしょう。ま、しょうがありません。
この作品は、僕が28歳の時に書きました。で、その4年後再演して、んで、18年ぶりの再演です。
今回、初演の台本を読んだ『虚構の劇団』の劇団員たちは、「訳が分かりません!」と大合唱していました。
しなかったのは、筑波大学で訳の分からないパフォーマンスをしていた渡辺だけでした。小沢なんてのは、人間として自分の存在自体がよく分からないのに、「もう、ほんとに分かりません!」と涙目になっていました。作品が分からないという前に、人間として、いえ、生物として「小沢、君がよく分からない」。
まあ、あの当時、埴谷雄高さんという高名な思想家・作家の人の「不合理ゆえに我信ず」という有名なフレーズがあって、演劇というのは、詩と時代と身体が出会う場所だと思っていたわけです。
「訳が分からないこそ面白れー!」という時代の信仰もあったのですね。んでも、今回はそうはいかないだろうと思っているので、入口をずいぶんユーザーフレンドリー(笑)にしました。でも、たどり着く『ハッシャ・バイ』の奥底は、初演以来変わっていません。訳が分からないままたどり着くか、よく分かってたどり着くか、の違いになるだろうと思っています。
どうして『ハッシャ・バイ』なのですか? とよく聞かれます。たぶん、ひとつの理由は、『ハッシャ・バイ』を書いた時代の匂いが今と似ているということです。それと『虚構の劇団』の俳優達が少しづつ成長しているので、今『第三舞台』の作品を上演したらどうなるか見ててみたいと思ったこと。で、『ハッシャ・バイ』という作品そのものが、もっともっと大きく成長する可能性があると思っていること。などなどです。
初日を迎えると、もっと理由が思い当たるかもしれません。
なんにしても、新しい劇場はワクワクするものです。
高円寺でお会いしましょう。劇場のすぐそばに、僕が大学時代通った、『桃太郎寿司』があります。安くて美味しいお寿司屋さんです。はい。
写真は、「台本が分からないので、悩んでいる三上陽永」のはずが、写メを撮って、どうも保存してなかったらしく、携帯に見つからないので、しょうがなく、またまた、作品を産んだ僕の自宅のパソコンです。「オアシス」というワープロフソトの絵です。
陽永、残念。