「エゴ・サーチ」13

第9回公演/エゴ・サーチ 虚構の稽古場Blog 2013年9月12日

稽古はもうすぐラストシーンへと近づいています。
今は物語の核となる部分の稽古真っ最中。
そうだそうだ、初演の時も3日間ぐらいの稽古が必要なシーンだった。
小沢道成です、2週目がまわってきました。

 

 

 

 

夢うつつのまま歩き続けてる気分にさせてくれる「北に抜ける道」という、その名の通り、北に向けて真っ直ぐに続く草木に囲まれた道。
僕の隣には、数えきれない程のツバメがビュンビュンと飛んでいて、宮崎駿の世界に入り込んだようにツバメ達と戯れながら、一緒に北を目指す。

この鳩間島は、島一周が徒歩1時間で歩けてしまう場所なので長さは感じないんだけど、見たこともない植物や、聞いたことのない鳴き声があちらこちらから聞こえてくるもんだから、時に走りながらもさらに北へ進む。
まあ、もし何かに噛まれた時には焦らず、大丈夫、痛くない痛くないと冷静に動物と友達になろうと心に言い聞かせながらも、やはり速足になる。

 

 

 

これが噂の、島に住む妖精・キジムナーが住んでいるガジュマルの木か。
キジムナーは、古いガジュマルの木に住んでいるらしい。
島の子供たちに、妖怪?と聞くとすぐさまに、妖精だよ!と正される。
島中どこにでもあるのを見ると、この島を守っているのはガジュマルの木なのかもしれない。

 

やっと「北に抜ける道」を抜けて西へ少し歩いたところに、一面のたんぽぽが咲いている草原の丘があって。
その丘の一番高い場所で、ヤギの群れと出会う。

 

 

 

 

というか、島を歩いていたら、人と出会うよりも先に、ヤギに出会うもんだから、どう接すればいいのか戸惑う。
目があい、ヤギも僕を見つめ、一瞬時が止まる。
こんにちは、と声を掛けるが逃げるヤギ。
大丈夫だよ!大丈夫だよ!と逃げるヤギに声を投げるが、逃げるヤギ。

自然のなかに「お邪魔しまあーす」って言って人間が一緒に生活している。
大袈裟じゃなく、この島は、生きているって言葉がぴったりで、島全体がちゃんと呼吸をしながら、ただそこに在る。

この空気、この深呼吸をする感覚。

きょうのダンス稽古でも「呼吸」てのがテーマになりました。まさに息を合わせる。
呼吸を合わせることで、さらに一体感がでてきました。
不思議だな、息を吸ったり吐いたりしているだけなのに、合わせることで、手をつなぐことよりも繋がれる気がした。

さらに、きょうから稽古場には、本番と同じセットが組まれたんだけど、さらにイメージが湧き、具体的になってきました。
初演の時には感じなかった感覚も稽古場に生まれてきていて驚いています。
はじめて遭遇する感覚って、戸惑うし怖いものだけど、ワクワクもしますよね。
ヤギに遭遇した時もそうでした。
確かにあの時、ワクワクしたんですよね。

よし、明日のブログ担当はヤギちゃんにしよう。

小沢道成


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